2015年11月7日土曜日

忘れ形見

 カエルの苦手な方は申し訳ないですが・・・。
 堆肥置き場を搔き回していたら、奥の方で蠢く影。。。ややや!ヒキガエルの子供!このヒキガエル(別名イボガエル、ガマガエル)の子供は、うちの水瓶で産み落とされた卵から育った子だと思います。この見た目から、触るとかぶれるとか色々言われますが、素手で触れてもかぶれることはありません。わざとしつこく意地悪をして、毒腺から毒を出させてそれに触れでもしない限り安全ですし、非常に穏やかで大人しいカエルです。そして農家や園芸家にとって非常にありがたい生き物なのです。
 農薬を使わない庭作りを始めてすぐに困らされたのが、夜になると土から出てきて一晩で甚大な食害をもたらすヨトウムシの問題でした。普通の害虫は、セリ科ならセリ科、ナス科ならナス科と、ある特定の種類の植物だけにつくことが多く、その為発見も駆除もしやすいのです。ところがヨトウムシはあらゆる植物を食害します。人間でさえ心不全を起こすことがあるようなジギタリスのような強力な毒草ですら、この害虫は平気で食害するのです。仕方なく毎晩懐中電灯を片手にこのヨトウムシを50~100匹程度を捕殺するということを繰り返していました。そしてヨトウムシの天敵となってくれる生き物をネットなどで探していました。しかし、多くの虫を食べる虫や小動物は昼光性。しかしヨトウムシは夜行性。生活時間帯がちがうわけです。そして思いついたのがこのヒキガエル君。ヒキガエルは筋金入りの宵っ張り。昼間は土の中とか枯葉の下で寝ています。そして昆虫食。ヨトウムシもよく食べると言う文章も見たので、近場の池から春先にヒキガエルのオタマを捕まえてきて、庭の水瓶で子蛙にまで育てました。小指の先ほどの無数の小さな子蛙が庭に旅立って行きました。そして数年後の早春の夜、かすかなカエルの鳴き声が聞こえてきたので庭を探すと水瓶にヒキガエルが二匹、交尾していました。ヒキガエルは育った水場に戻って産卵する習性があるのです。
その翌年も水瓶にヒキガエルが来たのですが、その時は急に暖かくなった日があって目覚めたのでしょうね。翌日また真冬の寒さになったため、水瓶のヒキガエルは寒くて動けなくなり、水に沈んで溺れ死んでしまいました。その子はメスでした。それからしばらく遅れて出てきたオスが、寂しそうに一人水瓶でメスを待っていたのが今も思い出されます。オス一匹になってしまったか・・・と思っていた中でのこの子の出現。嬉しかった~。メスでありますように。そして元気に大きくなりますように。
 そうそう。ヒキガエルのお陰か、その他色々な生き物が増えたお陰か、ヨトウムシにはほとんど困らないようになりました。食物連鎖は大事ですね。

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