2012年5月26日土曜日

植物の分類について

日本草本植物総検索誌 双子葉篇 杉本順一著 刊1965年 18歳から20歳までの間、植物の生き字引のような金井弘夫博士に植物分類学を学ぶ幸運な機会がありました。その際先生が下さった『日本草本植物総検索誌 双子葉篇 杉本順一著 刊1965年』という辞書というか辞典というかの本。この写真はその本からの引用ですが、写真中の28番のハナウドですがこれはよくあるセリ科の植物(パセリ,セリ,ニンジン,セロリ,ウドなどですね。)の一種。28番はA1A2と枝分かれし、A1はさらにB1、B2と枝分かれしていますね。葉にうぶ毛があるかないかで種類が分かれ、毛の形状でさらに分かれてなんていうマニアックな世界。私は基本的に大雑把な人間ですが、意外とこういう植物の分類って大事なんですよ。
 たとえばジャガイモ、トマト、ピーマン、ナス、トウガラシ。これらの野菜を聞いて共通するのはなんだと思われますでしょうか?これらは全てナス科の植物で、その点では親戚みたいなものです。みんな花が良く似ています。そしてナス科は見方によっては毒性ともいえるアルカロイドを含むものが多いのが特徴です。アルカロイドは色々な形があるそうですが、最近話題の脱法ハーブのトリップする作用をしたり茶やコーヒーのカフェイン、タバコのニコチン(そう、つまりタバコ(タバコという植物からタバコは作られてます。)もナス科なんです!)もそうですね。そしてトマトにはトマチン、ジャガイモにはソラニンというアルカロイドが含まれます。ソラニン中毒は日本でもしばしば起きていて頭痛・嘔吐・腹痛などで食中毒を起こします。もちろん『芽を取る、皮をむく。』などの通常調理をしていれば全く問題はありません。
 また、虫についても植物の分類が役に立ちます。セリ科ならセリ科特有の虫がつきやすいということがあります。蝶で言うと、モンシロチョウはアブラナ科によく産卵します。アブラナ科ですと菜の花(アブラナ)やキャベツ、白菜、大根、カリフラワー、小松菜、ブロッコリーなどですね。一方、キアゲハはセリ科ですのでパセリ,ニンジンなどを食害します。アゲハはミカン科なのでサンショウや我が家ではルー(ヘンルーダ)が食害されます。
 このように植物のある共通した特徴をつかんで、セリ科、ナス科なんていうふうに大まかなカテゴライズを掴んでおくだけでその仲間特有の長所短所などがざっくりと把握できます。薬効や毒性、病虫害対策なども共通してくることが多いですし、連作障害を避ける時にはこのカテゴライズが重要です。ここは去年ナスを植えて育てていたから今年はジャガイモにしよう!なんて駄目ですね(笑)。どちらもナス科です。ということでマニアックですが知っておくとチョコチョコ役立つ植物分類、知れば知るほど楽しいですよ。

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